【住む|第5回】

和歌山で暮らし始めて感じることのひとつが、
「やっぱり車があると便利だな」
ということです。
スーパーへ行く。
病院へ行く。
少し離れた店へ買い物に行く。
休日に海や山へ出かける。
車があれば、行動範囲は一気に広がります。
だから家を探すときにも、
「駐車場は2台あるかな」
「幹線道路に出やすいかな」
「スーパーまで車で何分かな」
と考えます。
でも50代で和歌山へ移住するなら、私はもう一つ考えておいた方がいいと思っています。
それは、
「車を運転しなくなったら、この場所で暮らせるだろうか?」
ということです。
今はまだ先の話に感じます。
でも50代で選んだ家に20年住めば70代。
30年住めば80代です。
今回は、そんな少し先の自分を想像しながら、和歌山市での住まい選びを考えてみます。
1.今の「便利」は、車があるからかもしれない
物件を見に行って、
「ここ、静かでいいな」
と思う。
スーパーまでは車で10分。
病院も車で15分。
ホームセンターもドラッグストアも車ですぐ。
今なら、まったく問題ありません。
むしろ便利です。
ところが、
車を使わない生活に置き換えてみると、景色が変わります。
スーパーまで歩けるのか。
バス停はどこにあるのか。
病院へどうやって行くのか。
雨の日はどうするのか。
「車で10分」は便利でも、
「車がなければ行けない」
という意味でもあります。
ここは50代からの住まい選びで、意外と見落としやすいところです。
2.「駅に近ければ安心」とも限らない
では、駅の近くなら大丈夫なのでしょうか。
もちろん鉄道を使いやすいことは大きなメリットです。
でも実際の生活では、駅だけで暮らすわけではありません。
スーパー。
病院。
薬局。
銀行。
郵便局。
美容院。
日用品を買う店。
こうした毎日の生活に必要な場所との距離の方が、年齢を重ねるほど重要になるかもしれません。
だから家を探すときには、
「駅徒歩○分」だけでなく、「生活徒歩圏」を見る。
私はこの考え方が大切だと思います。
3.スーパーまで「車で5分」と「歩いて10分」は全く違う
不動産情報を見ていると、
「スーパーまで車で5分」
という表現があります。
今なら、とても近く感じます。
でも車を使わない生活ならどうでしょう。
歩くと30分かもしれません。
荷物を持って帰る必要もあります。
夏の暑い日。
冬の寒い日。
雨の日。
体調が悪い日。
毎日の買い物となると、話は変わります。
50代から住む家なら、
一度、スーパーまで実際に歩いてみる。
これはかなりおすすめです。
地図の距離と、実際に歩いた感覚は違います。
4.病院との距離は、50代から少しずつ重要になる
若い頃の家探しで、
「病院まで何分?」
を最優先にする人は、それほど多くないかもしれません。
でも50代以降になると、少し事情が変わってきます。
定期的に通院する。
薬を受け取る。
検査を受ける。
歯科へ通う。
家族を病院へ連れて行く。
そんな機会が少しずつ増えてきます。
大きな病院が近ければいい、というだけでもありません。
普段相談できるクリニックや薬局が生活圏にあることも大切です。
住まいを決めるときに、
「病気になったとき、ここからどう動く?」
と一度考えてみる。
50代の家選びでは、そんな視点もあっていいと思います。
5.バス停があるだけでは判断できない
物件の近くにバス停がある。
それを見ると、
「車がなくても大丈夫そう」
と思います。
でも確認したいのは、その先です。
どこへ行くバスなのか。
何時まで走っているのか。
普段行きたい場所へ行けるのか。
乗り換えは必要なのか。
そして何より、
自分の生活時間に使えるのか。
バス停までの距離だけではなく、実際の路線や運行状況まで見ておく必要があります。
これは移住前にはなかなか気づきにくいポイントです。
6.自転車という選択肢もある。でも一生ではない
和歌山市では、地域によっては自転車がかなり便利です。
スーパー。
コンビニ。
病院。
ちょっとした外食。
車を出すほどでもない距離なら、自転車で済ませられます。
電動アシスト自転車なら、さらに行動範囲は広がります。
ただし、
「自転車に乗れるから大丈夫」も永遠ではありません。
年齢を重ねれば、転倒リスクも考える必要があります。
だから、
車 → 自転車 → 徒歩・公共交通・タクシー
と、年齢によって移動手段が変わることまで考えておく。
そんな住まい選びができれば安心です。
7.タクシーを「ぜいたく」と考えない
車を手放した後の生活を考えると、
「タクシー代がかかる」
と思います。
確かに1回の料金を見ると高く感じます。
でも車を所有していれば、
車両代。
保険。
税金。
車検。
ガソリン。
整備。
タイヤ。
駐車場。
などが必要です。
車を手放した後、その一部をタクシー代に回すと考えれば、見方は変わります。
「車を持たない=どこにも行けない」ではありません。
公共交通、徒歩、宅配、タクシーなどを組み合わせる。
将来はそんな暮らし方も選択肢になると思います。
8.ネットスーパーや宅配も「住みやすさ」の一部になる
これからの高齢期の暮らしは、昔とは少し違います。
食料品を届けてもらう。
日用品をネットで買う。
薬や医療でもオンラインサービスを利用する。
さまざまなサービスが生活を支えてくれる可能性があります。
だから、
「スーパーが遠いから絶対に住めない」
とも言い切れません。
一方で、すべてを宅配だけに頼るのも少し不安です。
大切なのは、
徒歩で行ける場所+移動サービス+宅配
のように、生活手段を複数持てることだと思います。
9.坂道は、実際に歩いてみないと分からない
地図を見ただけでは分かりにくいのが高低差です。
車で走っていると気にならない坂でも、歩くと印象がまったく違うことがあります。
今なら平気。
でも10年後はどうだろう。
買い物袋を持って歩けるだろうか。
自転車で上れるだろうか。
家探しでは物件の中を見ることに集中しがちですが、
家の周囲を10~15分歩いてみる。
これだけでも、かなり情報が得られます。
10.平屋だけでなく「生活が1階で完結する家」を考える
前回までにも触れましたが、50代以降の住宅では階段もポイントになります。
だからといって、必ず平屋でなければならないわけではありません。
例えば2階建てでも、
1階に寝室を作れる。
1階にトイレがある。
浴室も1階。
洗濯も1階で完結する。
そんな家なら、将来的に2階をほとんど使わない生活もできます。
つまり重要なのは、
「何階建てか」より、「年齢を重ねたときに生活動線を短くできるか」。
この視点で間取りを見ると、家選びが少し変わってきます。
11.私なら物件を見るとき「70代の自分」で歩いてみる
これは、ぜひ一度やってみてほしいと思います。
気になる物件を見つけたら、
車を置いて歩いてみる。
スーパーまで。
バス停まで。
近くのクリニックまで。
コンビニまで。
そして自分に問いかけてみます。
「70代になっても、この道を歩けるかな?」
今の自分なら簡単です。
だからこそ、少し想像力が必要です。
信号はあるか。
歩道はあるか。
坂はきつくないか。
夜は暗くないか。
休める場所はあるか。
住宅そのものだけではなく、
「家の外まで含めて住まい」
と考える。
50代からなら、これはとても大切だと思います。
まとめ|50代の住まい選びは「車がある今」だけで決めない
和歌山で暮らすなら、車はとても便利です。
私自身、車があることで和歌山での生活を楽しめる範囲が大きく広がると感じます。
海へ行く。
山へ行く。
買い物へ行く。
少し遠い店へ食事に行く。
和歌山暮らしと車は、かなり相性がいい。
でも、
家は車より長く付き合う可能性があります。
だから50代で住まいを選ぶなら、
「駐車場があるか」
だけではなく、
「車がなくなっても暮らせるか」
も見ておく。
スーパー。
病院。
薬局。
公共交通。
坂道。
徒歩圏。
タクシー。
宅配。
こうしたものを組み合わせて考えてみる。
そうすると、「住みやすい場所」の意味が少し変わってきます。
50代の今にとって便利な家ではなく、
70代、80代になっても暮らしを続けられる家。
和歌山で長く暮らすなら、そんな視点で住まいを探すのもいいのではないでしょうか。
住んでわかった、和歌山。
家を選ぶということは、建物を選ぶだけではなく、これからの暮らし方を選ぶことなのだと思います。
次回【住む|第6回】
和歌山市で平屋に暮らすのはどう?50代から気になる「小さな家」という選択
第6回は今回の「車を手放した後」「70代・80代の暮らし」から自然につなげて、大きな家より、夫婦2人で無理なく維持できる家を掘り下げます。



コメント