第4回:親の通院、誰が付き添う?仕事をしながら支える現実

【親と暮らす|第4回】

親が年を取ってくると、少しずつ増えてくるのが病院との付き合いです。

最初は、

「血圧の薬をもらいに月1回」

くらいだったかもしれません。

ところが、そのうち、

内科。

整形外科。

眼科。

歯科。

検査のために大きな病院。

気がつけば、月に何度も病院へ行くようになることがあります。

そして、あるとき親から言われます。

「今度の病院、一緒に来てくれない?」

この一言から、親を支える生活が少しずつ始まるのかもしれません。


「病院に連れて行くだけ」と思っていた

親の通院に付き添う。

最初は、それほど大変なことには思えません。

車で迎えに行く。

病院まで送る。

診察が終わったら薬局へ行く。

家まで送る。

「半日くらいかな」

と思います。

ところが、実際にはそう簡単ではありません。

予約時間に行っても待つ。

診察を待つ。

検査を待つ。

会計を待つ。

薬を待つ。

大きな病院なら、午前中に行って帰ってくるのが午後になることもあります。

それが年に1、2回なら何とかできます。

でも、月に何度もとなると話は変わってきます。


50代は、まだ仕事の真ん中にいる

親の通院が増えてくるころ、子ども世代は50代ということも少なくありません。

でも50代は、仕事を引退した年代ではありません。

むしろ、

責任のある仕事を任されている。

簡単には休めない。

自分の仕事だけでなく部下もいる。

そんな人も多いでしょう。

そこへ、

「来週の火曜日、病院だから」

と言われる。

有給休暇を取る。

仕事を調整する。

同僚にお願いする。

そして翌月には、また別の病院。

これが続くと、

「親のためだから当然」だけでは続けられなくなる

ことがあります。


親も「迷惑をかけたくない」と思っている

一方、親も頼みたくて頼んでいるとは限りません。

「仕事を休ませるのは悪い」

「忙しいのに申し訳ない」

そう思っているかもしれません。

だから、

「一人で大丈夫」

と言う。

でも、本当は診察内容をよく理解できていなかったり、医師から聞いたことを家に帰るころには忘れていたりする。

子どもとしては心配です。

親は迷惑をかけたくない。

子どもは心配だから付き添いたい。

このすれ違いも、親との暮らしでは出てきます。


付き添う目的は「送迎」だけではない

通院付き添いというと、車で病院へ連れて行くことを考えます。

でも、本当に重要なのは診察室の中かもしれません。

例えば医師から、

「薬を変更しましょう」

「次回、検査をしましょう」

「最近、血圧はどうですか?」

と聞かれます。

親が、

「特に変わりません」

と答える。

でも家族から見ると、

「最近ふらつくことが増えた」

「食事量が減っている」

「薬を時々飲み忘れている」

ということがあるかもしれません。

本人だけでは伝わらない生活上の変化を、家族が補足できる。

これは付き添いの大きな意味だと思います。


病院でもらった薬、ちゃんと分かっている?

通院が増えると、薬も増えていくことがあります。

内科から3種類。

整形外科から2種類。

眼科から目薬。

さらに別の病院から薬が追加される。

本人は、

「白い薬」

「朝飲む薬」

「痛いときの薬」

くらいの認識になっていることもあります。

そして家へ行くと、

テーブルの上。

引き出し。

バッグの中。

いろいろなところから薬が出てくる。

「これ、いつの薬?」

と聞いても、

「分からない」

となる。

この段階になったら、通院だけではなく、薬の管理も一度確認してみる時期なのかもしれません。


薬局を一つにまとめるという方法

複数の病院に通っていても、処方箋を持っていく薬局は必ずしも病院ごとに変える必要はありません。

可能であれば、普段利用する薬局をある程度決めておく方法があります。

そうすると、

「この薬は別の病院からも出ていないか」

「飲み合わせは大丈夫か」

「薬が余っていないか」

「最近、薬が増えていないか」

といったことを薬剤師に相談しやすくなります。

お薬手帳も重要です。

親が何の薬を飲んでいるのか。

家族も一度、一緒に確認しておく。

これだけでも、いざというときの安心感は違います。


家族全員で支える必要はない。でも、一人に集中させない

親の通院では、

「近くに住んでいる人」

に負担が集中しがちです。

兄弟姉妹がいても、

「近いんだからお願い」

となる。

最初はそれでもいいかもしれません。

でも、それが何年も続くと負担になります。

そこで、

病院の付き添いは自分。

お金の管理は兄。

ネットで必要なものを注文するのは妹。

遠方に住んでいても、できることを分担する。

そんな方法もあります。

全員が同じことをする必要はありません。

大切なのは、一人だけが全部を抱えないことだと思います。


「毎回付き添う」以外の方法も考える

すべての診察に家族が付き添う必要があるとも限りません。

いつもの薬をもらう定期受診なら一人で行ける。

重要な検査結果を聞く日は付き添う。

薬が大きく変わるときは一緒に行く。

そんな分け方もできます。

また、地域や本人の状況によっては、移動を支援するサービスや介護保険サービスなどを利用できる場合もあります。

「家族が全部やる」

から、

「家族にしかできないことを家族がやる」

へ変えていく。

長く支えるためには、この考え方が大切になってくると思います。


病院へ行く回数そのものを見直せることもある

複数の医療機関に通っている場合、

「この通院はずっと必要なのかな?」

と思うこともあります。

もちろん、家族の判断だけで通院や薬をやめてはいけません。

ただ、

「この薬はいつまで必要ですか?」

「同じような薬を別の病院でもらっていませんか?」

「通院の間隔を延ばすことはできますか?」

と医師や薬剤師に相談することはできます。

年齢を重ねるほど、

治療を続けることだけでなく、治療を無理なく続けられる形にすること

も大切になってきます。


通院が難しくなったら「医療に来てもらう」という考え方もある

そして、さらに年齢を重ねると、

病院へ行くこと自体が大変になることがあります。

車に乗るのがつらい。

長時間待てない。

歩くことが難しくなった。

そんなときには、状態や地域の医療提供体制によっては、医師が自宅を訪問する訪問診療や、薬剤師が自宅を訪問して薬の管理や服薬を支援する仕組みなどを利用できる場合があります。

つまり、

「親を病院へ連れて行く」だけが医療ではない

ということです。

元気なうちは通院。

少し大変になったら家族やサービスを利用する。

さらに難しくなったら在宅で医療を受ける方法を検討する。

親の状態に合わせて、医療との付き合い方も変えていけばいいのだと思います。


「通院が大変」は、一つのサインかもしれない

親が、

「病院へ行くのがしんどい」

と言う。

以前なら一人で行けた病院に、

「一緒に来てほしい」

と言うようになる。

これは単に移動の問題だけではないかもしれません。

体力が落ちてきた。

歩くのがつらくなった。

薬の管理が難しくなった。

病院での説明を理解するのが難しくなってきた。

生活のどこかに、小さな変化が起きている可能性があります。

だから私は、

「通院に付き添ってほしい」と言われたときこそ、親の暮らし全体を見る機会

なのだと思います。


今回のまとめ

親の通院付き添いは、

「病院まで車で送るだけ」

ではありません。

診察。

検査。

会計。

薬局。

そして家に帰ってからの薬の管理。

少しずつ、家族が関わることが増えていきます。

でも、すべてを一人で背負う必要はありません。

兄弟姉妹で分担する。

医師や薬剤師に相談する。

利用できるサービスを調べる。

必要になれば、在宅で医療を受ける方法も考える。

大切なのは、

一度きりの付き添いではなく、何年続いても無理のない方法をつくること。

親を支えるために、自分たちの生活が壊れてしまっては続きません。

親の生活も大切。

そして、支える私たちの生活も同じくらい大切です。

次回は、通院の付き添いをしていると気づきやすい、

「親の薬、大丈夫?飲み忘れ・余っている薬・増えすぎた薬をどうする?」

について考えてみたいと思います。

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